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保健福祉科学専攻[博士後期課程]

保健福祉学部棟

栄養学大講座の概要[博士後期課程]

高齢社会を迎え、生活習慣病をはじめとする慢性疾患から人々を守り、健康を維持・増進するためには、食と健康に関する諸問題を解決する必要があります。本大講座では、食事に伴う栄養現象を分子生物学的アプローチにより解明し、病気の一次予防から三次予防に至る各過程にいかすことを目指した教育・研究を行っています。

研究分野は、食品中に含まれる新規機能性成分の探索並びに食品の安全性の追求、慢性疾患における脂質代謝をはじめとする代謝調節系の役割の解明、そして生命現象としての栄養の中枢神経系における制御系の解明に及びます。

[学位記に付記される大講座分野の名称]:栄養学

教員・講座の研究内容

講座 教員・授業科目名 講義等の内容
栄養学大講座 近年、慢性腎臓病(CKD)と心血管病(心筋梗塞・狭心症・心不全・脳卒中など)が密接に関係していることが明らかになり、心腎連関症候群として注目されるようになってきた。心腎連関は糖尿病、メタボリック症候群とも関わりが大きいが、特に高齢社会において重要性が高く、わが国でも関心が高まってきた。糖尿病、腎不全、心不全、貧血、脳卒中後遺症を合併する症例が多く、栄養管理には病態や治療に対する深い理解が必要である。本講義では、心腎連関の病態生理について学び、合併症の治療法を理解する。
近年の分子生物学研究の進展は、生命の設計図である遺伝子を操作して生物の機能を望み通りに変化させる遺伝子組み換え技術を生み出した。今やこの技術は産業分野における有用物質の生産や有用生物の育種、医療分野での診断および治療に欠かせない存在となっている。本講義では遺伝子組み換えの歴史的背景、様々な技術とその応用について紹介し、遺伝子工学への理解を深め今後を展望する。また遺伝子組み換え技術の農業・畜産分野への利用について、生産者、消費者、地球環境など様々な視点から議論する。
脂質メディエーターは、生体内の恒常性の維持のみならず、様々な病態にも深く関与する。脂質メディエーターの生体内意義の解明には、局所での生合成系や情 報伝達を知ることが重要である。脂質メディエータ一合成系酵素の酵素連関や受容体との関係について、生化学的・組織細胞化学的に理解する。さらには、病態 に関わる脂質メディエーターをターゲットとした食品の機能性について考察する。
  • ■栄養生理科学特別講義
  • 森脇 晃義[非常勤講師]
栄養に係わる生理機能は神経系が統括する生理機能の一つととらえることができる。本講義では摂食や飲水行動の中枢である視床下部の機能について、末梢から の空腹感や満腹感、渇きのシグナル伝達と摂食や飲水行動との関連について講義する。さらに、報酬系、嫌悪系とこれらの行動との関わりについても理解を深める。
食品における機能性成分の検索、構造決定、機能性の評価方法について論述することができる。
応用栄養学領域の研究基盤として、食品の機能性に関する研究を体系的かつ具体的事例を示して、食品機能科学分野の将来性を考究する。
アミノ酸発酵や醸造食品の製造などの応用微生物学的技術を基礎として、近年、遺伝子工学やタンパク質工学の手法に支えられた「ニューバイオテクノロジー」が急速に進歩した。
本講義では、天然資源である動植物、微生物の様々な代謝反応を特異的かつ選択的に進行させ、食品機能の改変を行いうる各種の「酵素タンパク質」の反応機構を分子レベルで解明する。さらに、その触媒機能の応用により、食品機能成分の機能向上、有用な新機能性物質の生産、ならびに今後の食糧資源の確保と再利用を目指す「高度な食品酵素バイオ」について、最新の実例を取り上げて学際的に考察する。
  • ■脂質分子病態科学特別講義
  • 高橋 吉孝[教授]
栄養素としての脂質は、単にエネルギー源として重要なだけではない。必須不飽和脂肪酸から一群の生理活性物質が作られ、ヒトの体内でのホメオスタシスや 様々な病態において、重要な役割を果たしている。これら脂質メディエータを合成する酵素やその受容体の分子レベルでの解析により、アレルギーや炎症、血栓性疾患だけでなく、動脈硬化、癌、皮膚疾患といった広い範囲の病態における新たな治療方針が模索されている。本講義ではこれまでの研究により明らかにされたこれらの脂質メディエータの合成経路と病態との関連について最先端の内容を解説する。
食文化は、食品資源の利用方法や調理法・食習慣について、地域での共有と伝達を成立条件としている。主要な食品資源について、起原と伝播経路、生態学上の位置付けと歴史的背景、食生活上での特性と利用状況について解説する。本講義では、環境負荷を軽減する持続可能な食生活のための食料政策・環境政策・消費者政策の実現に向けて、地産地消やスローフード、資源植物の食生活における利用やエネルギー利用における問題点について考察する。
食品中には主要な栄養素以外に、生体調節機能を有する生理活性成分が存在する。生活習慣病の増加と共に、食品中の機能性成分に注目が集まっている。
本講義では、これまで報告されてきた、生体のエネルギー代謝制御因子とその作用機序、さらにエネルギー代謝制御の破綻と肥満、メタボリックシンドロームとの関連について解説し、それらを防御・改善する食品中の機能性成分と、その作用について最新の研究成果を基に解説する。
  • ■栄養予防治療科学特別講義
  • 川上 貴代[教授]
疾患に対する予防や治療の基盤として、食事、経腸栄養、経静脈栄養を初めとする栄養管理は非常に重要である。また生活習慣病関連での食事・栄養療法は単なる栄養補給にとどまらず、ライフスタイルを含めた介入が必要となるものの学術的エビデンスは少ない現状である。そこで本講義では、これまで明らかにされた栄養療法、ライフスタイル療法のうち、特に肝疾患を中心に取り上げ、その現状と課題について解説する。
調理過程における食品の物理的性質、化学的性質の変化を調べる手法を紹介し、変化のメカニズムを分子構造の変化に基づき解説する。
栄養を含めた環境因子や遺伝素因と生活習慣病との関連について、特に骨粗しょう症を取り上げて集団における健康増進のための栄養介入について解説するとともに、関連分野のトピックをについて討議し、現状や課題を理解することを目的とする。
疾病発症や疾病予防などに貢献する様々な機能分子が知られる。生体や食品に由来する機能分子について、その化学構造の特徴をとらえ、生理作用およびその作用機序について解説、討論する。
  • ■栄養学特別研究
  • 教育研究指導教員全員
指導教員の指導のもと、研究テーマとその周辺分野に関する最新の研究動向を調査し、学会への参加や他機関との交流などを通して、研究計画能力と総合評価能力を培わせるとともに、新たな知を創造できる能力をつけさせる。博士論文作成のための理論、実験等に関する研究指導を行う。

(注)授業科目及び担当教員は一部変更する場合があります。





論文テーマ


卒業年度 論文タイトル
2015(平成27)年度 ・Study on the virulence factors of Vibrio vulnificus by transposon insertion mutagenesis
2014(平成26)年度 ・Study on gastrointestinal functions of young barley leaves
2013(平成25)年度 ・Study on the precursor of Gly m Bd 28K, a soybean allergen
2012(平成24)年度 ・Study on asymmetric dimethylarginine (ADMA), a novel risk factor for cardiovascular disease
2009(平成21)年度 ・Study on a wheat major allergen, Tri a Bd 27K
2008(平成20)年度 ・Molecular cloning and allergenicity of Pen j 1, a major allergen of kuruma prawn, Penaeus japonicus
・Study on chlorogenic acid derivatives, α-glucosidase inhibitors, in foodstuffs
・Study on the interaction between flavonoids and serum albumin